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軟骨細胞のアポトーシスとヒアルロン酸

近年、軟骨組織の変性、破壊のメカニズムとして軟骨細胞自体のアポトーシスが注目されています。

研究では、ＲＡ患者関節液はＯＡ患者関節液と比較し、ＮＨＡＣ−ｋｎの培養系において、より高い軟骨細胞アポトーシス誘導活性を示すことを明らかにしました。

また、Ｋｉｍらは、ｉｎ　ｖｉｖｏのＲＡ軟骨ではＯＡ軟骨に比して多数の細胞がアポトーシスに陥っていると報告しています。

こうした軟骨細胞のアポトーシスの誘導に関して、Ｐｅｌｌｅｔｉｅｒらは誘導型ＮＯ合成酵素（ｉＮＯＳ）阻害剤により実験的ＯＡの進行が抑制され、しかも軟骨細胞のアポトーシスが抑制されたと報告しています。

一方培養系では、ＴＮＦ−α、ＩＬ−１βが軟骨細胞にＮＯの発現を誘導することが明らかとなり、これらのサイトカインの関節液中での活性が問題となります。

この点に関し、吉井らは、ＲＡ関節液中とＯＡ関節液中のＴＮＦ−αのＩＬ−βの値をＥＬＩＳＡにて検索していますが、ＲＡでより高値の傾向を認めるものの、有意差はないと報告しています。

しかしながらＲＡにおいては少数ながら非常に高値を示す症例がみられることを明らかにしており、今回の検討で、一部ＲＡ症例が高いアポトーシス誘導活性を示した事実に対応する可能性が考えられる。

被験関節液中のサイトカイン等の生理活性物質の把握を含め、今後さらに検討が必要と考えます。

一方、高分子ヒアルロン酸は軟骨細胞外基質で、ＯＡやＲＡの関節内注入療法として臨床的に用いられています。

ＦｕｋｕｄａらはＩＬ− １ による軟骨破壊をヒアルロン酸が抑制していることを報告しています。

その作用機序の一つとして、Ｙａｓｕｉは、ＩＬ−１は組織メタロプロテアーゼインヒビター（ＴＩＭＰ）の誘導を抑制し、ヒアルロン酸はこの抑制を解除する作用があると報告しています。

また、Ｔａｋａｈａｓｈｉは、ウサギＯＡモデルの半月板や滑膜において、ヒアルロン酸がＮＯ産生を抑制することを示し、熊野は、ＩＬ−１による軟骨細胞のＮＯ産生をヒアルロン酸が抑制し、また関節軟骨代謝の改善作用を報告しています。

しかしながらこれらの報告では、ヒアルロン酸のレセプターであるＣＤ４４を介した細胞内シグナルの関与の有無についての検討はなされていません。

一方、ＬｉｓｉｇｎｏｌｉらはヒトＯＡ軟骨細胞では抗Ｆａｓ抗体の添加でアポトーシスが誘導され、ヒアルロン酸添加にてこのアポトーシスが抑制されることを示しましたが、さらにヒアルロン酸によるアポトーシス抑制作用は抗ＣＤ４４抗体の添加で半減すると報告しています。

本研究においては、使用した関節液量の制限により、アポトーシスの現象の検出にとどまりましたが、今後このアポトーシス抑制作用とＣＤ４４シグナルとの関連や、ＮＯの関与を含めたメカニズム等、さらなる解析を加えていきたいと考えています。

＜まとめ＞

１．ＲＡおよびＯＡ関節液は正常ヒト膝関節軟骨細胞にアポトーシスを誘導した。

２．０Ａ関節液に比べてＲＡ関節液がより高いアポトーシス誘導活性を示した。

３．ＲＡ関節液を用いたアポトーシス誘導系において、高分子ヒアルロン酸はアポトーシスを抑制し、その効果は分子量１９０万のヒアルロン酸においてより顕著であった。

参考になさってください。

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